電車が走りすぎるこの街では
僕の声はなかなか届かない
ビルが高すぎるこの通りでは
僕はどうしても小さくなってしまう
荷物が多すぎるこの郵便局では
僕の手紙はどうしても後回しになってしまう
嘘が多すぎるこの校舎では
僕の言葉はなぜか空回りしてしまう
愛のありすぎるこのドラマでは
僕は主人公にはなれない
でも
塩が多すぎるこの海でも
僕の体は沈んでしまう
熱を持ちすぎるこのコーヒーでも
僕の舌は何の痛みも感じない
ゴミがありすぎるこの公園でも
僕は何一つ捨てられない
思い出が通いすぎるこの帰り道でも
僕は何一つ共有できるものがない
愛のなさすぎるこの映画でも
僕はやはり主人公にはなれない